
オンライン診療の案内ページを作るとき、予約ボタンと『自宅で受診できます』という説明だけでは、患者が確認したい条件を十分に伝えられません。実際には、誰が診療するのか、初診から利用できるか、診療前相談があるか、オンラインで実施できない場合にどうなるか、費用や本人確認、通信障害、急変時の対応までが一つの受診体験につながっています。
2026年4月1日にはオンライン診療に関する医療法上の規定が施行され、厚生労働省は同年4月版の指針、医療機関向けチェックリスト、患者説明チェックリストを公表しています。オンライン診療を実施している旨は広告できますが、すべての利用者が特定の診療や治療を受けられると誤認させる表示はできません。
この記事では、2026年10月15日時点の厚生労働省と個人情報保護委員会の一次情報をもとに、医療機関のWeb担当者がオンライン診療の案内を整える5つの確認を解説します。オンライン診療の可否や診療内容は医師が個別に判断します。自由診療を案内する場合は自由診療ページの料金表示、医師情報の更新は医療機関サイトの医師紹介もあわせてご覧ください。
結論:予約ボタンの前に『誰が・何を・どこまで』を示す
オンライン診療ページでは、実施する医療機関と医師、診療科、受付日時、対象となり得る患者、事前に必要な情報、診療前相談の有無と費用、診療方法、本人確認、対面診療へ切り替える条件、急変時の連絡先を一つの案内表にします。
『オンライン完結』『誰でも受診可能』『必ず処方』のような断定で予約を急がせるのではなく、医師が毎回実施可否を判断すること、触診等ができず得られる情報に限りがあること、必要時は対面診療へ切り替えることを予約前に理解できる順序へ整えます。
オンライン診療のWeb案内で揃える5つの確認
1.実施主体とサービスの言葉を一致させる
ページの冒頭で、診療を行う医療機関名、所在地、連絡先、診療科、担当する医師、受付日・時間、予約の要否を示します。外部の予約・ビデオ通話サービスを使う場合も、サービス会社が診療を行うように見せず、医療機関とシステム提供者の役割を分けて記載します。
厚生労働省の2026年4月版指針は、オンライン診療を、医師と患者が映像と音声をリアルタイムでやり取りし、診察・診断、結果の伝達や処方等を行うものと整理しています。メールやチャットだけで診療を完結させることはできません。予約受付、診療前相談、オンライン受診勧奨、一般的な健康相談を、すべて『オンライン診療』と一括表示しないことが重要です。
医療機関とは別の場所を業として提供する『オンライン診療受診施設』を案内する場合は、その施設自体が医療を提供するものではない旨と、どの医療機関が診療するかを視認できる形で明示する必要があります。自院の通常の案内ページと、受診施設の広告ルールを混同しないよう公開主体を確認します。
2.対象判断と受診フローを、断定せずに示す
初診からのオンライン診療は、原則として『かかりつけの医師』が行います。ただし、必要な医学的情報を把握でき、症状と合わせて医師が可能と判断した場合や、かかりつけの医師以外が診療前相談を行った上で一定の条件を満たす場合も想定されています。Webページでは『初診OK』だけで終えず、事前情報、診療前相談、医師判断、診療、対面切替の順を図や箇条書きで示します。
診療前相談を行っても、オンライン診療に進めない可能性があります。指針は、その可能性と診療前相談の費用等をホームページ等で示し、あらかじめ十分に周知することを求めています。予約フォームへ進む前に、対象外となり得ること、相談だけで終了する場合の費用、対面受診先の考え方を確認できるようにします。
医師はオンライン診療を実施する都度、医学的な観点から可否を判断します。急病・急変患者は原則として直接の対面診療とされているため、症状を自己判定させる表現や、オンライン診療で必ず対応できるような案内は避けます。
3.予約、費用、準備物を同じ受診単位で整理する
受付日時、予約締切、変更・キャンセル方法、診療前相談、診察料、システム利用料、通信料、処方箋や薬の受け渡し、配送等について、自院で実際に発生する項目だけを整理します。保険診療か自由診療か、初診と再診で条件が異なるか、オンライン診療に進めなかった場合に何が請求されるかを、予約画面と料金ページで矛盾させません。
準備物には、本人確認書類、保険資格の確認に必要なもの、紹介状や検査結果、お薬手帳など、実際に受診で求めるものを列挙します。ただし、書類を用意すれば診療や処方が確約されるわけではありません。処方の有無と内容は医師が診察に基づいて判断することも明示します。
料金や受付時間を変更したときは、オンライン診療ページだけでなく、予約サービス、院内案内、医療機関の掲載情報、必要に応じてGoogleビジネスプロフィール等の関連表示も同じ更新単位で確認します。
4.本人確認、プライバシー、通信条件を予約前に伝える
指針では、原則として医師と患者の双方が身分確認書類を用いて本人確認を行い、初診の患者確認では顔写真付き身分証明書等を用いる方法が示されています。Webページには、確認する書類、提示方法、確認できない場合の扱いを、自院の運用に合わせて掲載します。本人確認書類の画像を予約フォームで収集する場合は、利用目的、送信方法、保存期間、閲覧権限、委託先を含む取扱いを別途確認します。
オンライン診療は、患者のプライバシーが保たれる空間で行い、第三者を同席させる場合は相手方へ説明して同意を得る必要があります。推奨ブラウザ、端末、カメラ・マイク、必要な通信環境、事前テスト、接続できないときの連絡方法を予約完了画面だけに閉じず、事前案内にも置きます。
システム導入時は、医療機関とシステム事業者の責任分界、アクセス制御、記録、障害対応、更新、委託先管理を確認します。厚生労働省は2026年6月に医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版を公表しています。『安全なシステムです』という抽象表現で終えず、患者が行う操作と問い合わせ先を具体化します。
5.対面切替と急変時の導線を、予約導線と同じ強さで置く
オンライン診療で得られる情報には限りがあり、医師が適切でないと判断した場合は中止して対面診療へ切り替えます。診療計画には、オンライン診療を行わない条件、対面へ切り替える旨、急病急変時の対応方針、対応できる医療機関等を含めることとされています。
Webページでも、緊急時の診療窓口と通常の予約窓口を混同させず、緊急性が高いときにオンライン予約の返答を待たないための案内を、医療機関の実際の体制に沿って示します。固定的な症状リストだけで受診可否を断定せず、地域の救急案内や連携先については最新情報と院内承認を確認します。
通信障害、医師の変更、予約の遅延、対面受診の紹介、診療情報の引継ぎが発生したときの連絡担当と記録先も決めます。オンライン診療のページを集客用LPとして単独運用せず、診療部門、受付、情報システム、広報が同じ版を参照できる更新台帳へつなげます。
案内ページの更新台帳に残す項目
- 実施医療機関、診療科、担当医師、受付日時、予約方法
- 初診・再診、対象となり得る患者、必要な医学的情報
- 診療前相談の有無、オンライン診療に進めない可能性、費用
- 診察料、システム利用料、キャンセル、薬・処方箋・配送の実運用
- 本人確認書類、事前問診、同席、撮影・録音の取扱い
- 対応端末、ブラウザ、カメラ・マイク、通信テスト、障害時連絡
- オンラインを行わない条件、対面切替、連携先、急変時の案内
- 予約ページ、料金ページ、院内掲示、外部掲載先の版と更新日
- 医療部門、受付、法務・個人情報、システム、広報の確認者
よくある質問
『初診からオンライン診療できます』と書いてよいですか?
一律に受診できるような断定は避けます。初診は原則としてかかりつけの医師が行い、医学的情報を把握できる場合や診療前相談を経る場合などの条件があります。対象となり得る範囲と、最終的には医師が可否を判断することを併記します。
チャットだけでオンライン診療を完了できますか?
できません。厚生労働省の患者説明チェックリストでは、リアルタイムの視覚と聴覚の情報を含む通信手段が必要で、メールやチャットだけでは診療を実施できないとされています。チャットを補助的に使う場合も、伝達する事項・範囲を院内で定めます。
オンライン診療を行っていること自体は広告できますか?
できます。ただし、虚偽・誇大な表示や、オンライン診療の内容と直接関係のない事項で不当に誘引する表現は避けます。自由診療を案内する場合は、限定解除要件を含む医療広告等ガイドラインを個別に確認します。
外部サービスへリンクすれば、自院ページの説明は不要ですか?
不要にはなりません。患者が予約前に実施主体、対象判断、費用、本人確認、通信条件、対面切替を理解できるよう、自院ページと外部サービスの表示を揃えます。リンク先の変更や障害時に備え、問い合わせ先と更新責任者も決めます。
公開前チェックリスト
- 診療を行う医療機関・診療科・医師・受付日時を示した
- 予約、診療前相談、診療、対面切替の違いを示した
- 初診から必ず受診できる・処方されるような断定をしていない
- オンライン診療に進めない可能性と診療前相談の費用を示した
- 実際に発生する料金、変更・キャンセル、薬の受け渡しを確認した
- 本人確認、事前提出、同席、録音・保存の取扱いを確認した
- 端末・通信条件、事前テスト、接続障害時の連絡先を示した
- 対面受診への切替条件と急変時の案内を確認した
- 医療広告、個人情報、システム安全管理の担当者が確認した
- 予約ページ、院内掲示、外部掲載先と内容・更新日が一致している
まとめ:便利さと『利用できない場合』を同じページで伝える
オンライン診療のWeb案内は、利便性だけを強調するのではなく、実施主体、対象判断、診療前相談と費用、本人確認・通信、対面切替と急変時対応を予約前に理解できる順序で示します。患者が迷わず準備でき、医療機関側も受付・診療・広報で同じ情報を使える案内ページにすることが重要です。
フォームで収集する情報の見直しは医療サイトの問い合わせフォーム、自由診療のキャンペーン表示は自由診療のキャンペーン価格も参考にしてください。
オンライン診療の案内と更新フローを整えたい方へ
株式会社メディカルアトラクトでは、医療機関のオンライン診療ページについて、実施主体、対象条件、診療前相談、費用、予約前の準備、対面切替、院内外の掲載先を一つの更新台帳へ整理します。お問い合わせページから、現在の案内ページ、予約サービス、対象としている診療、更新で困っている箇所をお聞かせください。初回の相談では、予約前に不足している情報、患者が迷いやすい分岐、医療・受付・システム・広報の確認順序、外部サービスと同期すべき項目を具体化できます。
医療マーケティングとWeb運用を含む支援範囲はサービスページ、制作・運用例は制作実績ページをご覧ください。
本記事は株式会社メディカルアトラクト編集部(医療マーケティング・Web担当)が、厚生労働省と個人情報保護委員会の公表資料を2026年10月15日に確認して作成しました。
参考にした一次情報
- オンライン診療について(厚生労働省)(2026年10月15日確認)
- オンライン診療の適切な実施に関する指針(令和8年4月改訂、厚生労働省)(2026年10月15日確認)
- 基準等遵守の確認をするためのチェックリスト(医療機関版、厚生労働省)(2026年10月15日確認)
- 患者に対して説明すべき内容のチェックリスト(厚生労働省)(2026年10月15日確認)
- 医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正、厚生労働省)(2026年10月15日確認)
- 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(厚生労働省)(2026年10月15日確認)
- 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版(厚生労働省)(2026年10月15日確認)
- 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(個人情報保護委員会)(2026年10月15日確認)
本記事は2026年10月15日時点の公表資料に基づく一般的なWeb運用・情報提供の整理であり、個別の診療、診断、治療、法律上の助言ではありません。オンライン診療の可否、診療内容、処方、対面診療への切替は、患者の状態と得られる情報を踏まえて医師が判断します。制度、指針、診療報酬、医療広告、個人情報、システム要件は変更される場合があります。実際の表示と運用は、医療機関の管理者、担当医師、個人情報・情報システム担当者、必要に応じて行政窓口または適切な専門家へ確認してください。本記事は厚生労働省、個人情報保護委員会、掲載サービス各社の提携・監修を受けたものではなく、受診、処方、治療結果、予約数、検索順位、問い合わせ、売上を保証しません。