
自由診療のページを作るとき、料金表へ金額を一つ載せただけでは、患者が実際に必要となる内容や費用を判断できない場合があります。『○円〜』という入口だけが大きく、追加費用や治療期間、主なリスク・副作用が離れた場所にあると、ページ全体として誤認を招くおそれがあります。
この記事では、2026年9月9日時点で公開されている厚生労働省の医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)、同Q&A、ウェブサイト等の事例解説書第6版を中心に、自由診療ページで費用・期間・リスクを揃える実務を5つに整理します。個別の治療内容や法令適用を判断する記事ではありません。判断が難しい表現は掲載せず、医療機関を所管する自治体または適切な専門家へ確認してください。
前提:『限定解除』は、禁止表現まで認める仕組みではない
医療広告では、法令や告示で認められた事項以外は原則として広告できません。一方、患者が自ら求めて入手するウェブサイトなどで一定の要件を満たす場合は、広告可能事項の限定を解除し、より詳しい情報を掲載できる仕組みがあります。ただし、虚偽広告、比較優良広告、誇大広告、治療内容・効果に関する患者の体験談、誤認を招くおそれのある治療前後の写真などの禁止がなくなるわけではありません。
自由診療を紹介する場合の要件として、厚生労働省資料は、患者が自ら求める情報であること、容易に照会できる問い合わせ先、通常必要とされる治療内容・費用、主なリスク・副作用を挙げています。さらにガイドラインは、通常必要とされる治療期間・回数や、標準的な費用が明確でない場合の最低金額から最高金額までの範囲も、分かりやすく示す考え方を説明しています。
自由診療ページを整える5つの確認
1.広告クリエイティブと、患者が読むページを分けて審査する
ガイドラインでは、インターネット上のバナー広告や、費用を支払ってスポンサーとして表示される検索広告は、『患者が自ら求めて入手する情報』の要件を満たさないものとされています。ウェブサイトで限定解除の要件を整えたからといって、バナーや検索広告へ同じ表現をそのまま使えるとは限りません。
広告文、画像、動画、SNS投稿、リンク先の自由診療ページを一つの制作物として混ぜず、媒体ごとに確認します。ページ側でも、治療の長所だけを冒頭に集め、費用やリスクを遠い階層へ追いやらないようにします。SNSの公開前確認は医療機関のSNS運用で行う公開前レビューも参考にしてください。
2.治療内容と通常の期間・回数を具体的に揃える
治療名だけでは、どのような流れで何を行うのか、患者は判断できません。ページでは、対象となる自由診療の内容、通常想定される工程、治療期間、通院や施術の回数を、院内で確認できる範囲で具体化します。『状態により異なります』だけで終えず、通常の範囲と、変動する主な条件を分けて示します。
第6版の事例解説書では、治療期間しか書かれていない例、最低限の期間・回数だけを示す例、治療の具体的な説明がない例が不十分な事例として整理されています。制作担当者が数値を推測せず、診療責任者が治療内容、期間、回数、例外条件を確認し、公開日と確認者を更新記録へ残します。
3.費用は最低価格だけでなく、範囲・内訳・追加費用を示す
標準的な費用が一つに定まらない場合、ガイドラインは、通常必要な治療の最低金額から最高金額まで、発生頻度の高い追加費用を含めて、可能な限り分かりやすく示す考え方を示しています。『○円〜』『別途費用が必要』だけでは、患者が総額を見通せない場合があります。
料金表には、通常の総額または金額範囲、含まれる項目、含まれない項目、追加費用が生じる主な条件、各項目の金額を整理します。同じページに詳しい料金表があっても、目立つ場所で最低価格だけを切り出すと、ページ全体として受ける印象が変わります。スマホでも注記を折りたたみの中へ隠さず、価格と同じ流れで確認できるようにします。
4.主なリスク・副作用を、長所と同じ見つけやすさで示す
『効果には個人差があります』の一文だけで、対象となる治療の主なリスクや副作用を説明したことにはなりません。Q&Aは、効果が戻る可能性や複数回必要になる可能性だけを挙げた例について、通常必要な治療内容・費用と、主なリスク・副作用の記載が必要であり、その例だけでは要件を満たさないと説明しています。
治療ごとに、院内で確認した主なリスク・副作用を具体的に示し、長所より極端に小さな文字、背景と同系色の文字、意図的に情報量を増やした末尾などへ置かないようにします。消費者庁も、美容医療を受ける前に、効果だけでなくリスクや副作用、ほかの選択肢について説明を受けて検討するよう案内しています。なお、この記事では個別の治療リスクを例示しません。実際の記載は診療責任者が治療ごとに確認してください。
5.問い合わせ先と更新責任を、ページ単位で確かめる
問い合わせ先は、番号やメールアドレスが見えるだけでなく、掲載内容を実際に照会できることが重要です。2026年3月30日改正のQ&Aでは、予約専用で問い合わせ可能と示されていない番号、折り返しがない自動音声、受付返信だけで返答がないメールは、容易に照会できる状態とは認められないとされています。
各ページに、照会できる連絡先、受付時間、回答担当、院内への確認経路を定めます。公開後は、料金、治療内容、期間・回数、リスク・副作用、問い合わせ先を一つの更新台帳で管理し、どれか一つを変更したときに関連ページ、広告、SNSの表現も照合します。問い合わせフォームを使う場合は、相談内容を集めすぎない設計を医療サイトの問い合わせフォームに関する5つの設計で確認できます。
制作前に用意する情報シート
- 対象ページ:治療名、URL、公開媒体、誘導元
- 治療内容:通常の工程と、変動する主な条件
- 期間・回数:通常の範囲と確認日
- 費用:総額または範囲、内訳、追加費用と発生条件
- リスク・副作用:治療ごとの主な事項と診療責任者の確認
- 表示位置:長所、費用、リスクが同じ流れで読めるか
- 問い合わせ:連絡先、受付時間、回答担当
- 承認記録:原稿、画像、確認者、確認日、次回見直し日
患者の声や口コミをページへ転載する場合は、本人の同意があるかだけでなく、治療内容・効果に関する体験談の広告禁止を別に確認する必要があります。口コミ対応と二次利用の考え方は医療機関のGoogle口コミ返信に関する5つの確認をご覧ください。
公開前チェックリスト
- 広告、SNS、リンク先ページを媒体別に審査した
- 自由診療であることと治療内容が分かる
- 通常必要な治療期間と回数を両方示した
- 費用の総額または最低・最高の範囲を示した
- 発生頻度の高い追加費用と内訳を確認した
- 最低価格だけを目立つ場所へ切り出していない
- 主なリスク・副作用を治療ごとに確認した
- 長所と比べて注記が極端に小さくなっていない
- 掲載内容を実際に照会できる問い合わせ先がある
- 診療責任者の確認日と更新担当を記録した
- 虚偽、比較優良、誇大、体験談、誤認を招く写真を避けた
- 判断が難しい表現を公開前に保留できる運用にした
よくある質問
詳しい料金表へのリンクがあれば、ページ本文は『○円〜』だけでよいですか?
一律には判断できません。ガイドラインは、必要な情報をリンク先だけに置いたり、長所と比べて極端に小さく表示したりしないよう、掲載場所の分かりやすさへ配慮する考え方を示しています。第6版の事例解説書も、同一ページに料金表があっても、別の場所で最低価格だけを切り出す例を不十分な事例として示しています。価格を見た場所から、総額または範囲、内訳、追加費用を続けて確認できる設計にします。
『効果には個人差があります』と書けば、リスク表示になりますか?
その一文だけでは、主なリスク・副作用を具体的に説明したことにはなりません。対象となる治療ごとに院内で確認し、患者が容易に見つけて読める位置へ示します。
制作会社だけで公開可否を決められますか?
制作会社は、情報項目、表示位置、リンク、更新台帳を整えられますが、治療内容、期間・回数、費用、リスク・副作用の医学的・事実的な確認は医療機関側の診療責任者が行う必要があります。法令適用に判断が必要な場合は、掲載を保留し、所管自治体または適切な専門家へ確認します。
まとめ:自由診療ページは、魅力より先に判断材料を揃える
自由診療ページの料金表示では、最低価格だけを強く見せるのではなく、通常必要な治療内容、期間・回数、費用の範囲と内訳、主なリスク・副作用、実際に照会できる問い合わせ先を一緒に整えることが重要です。広告クリエイティブとリンク先を分けて審査し、診療責任者の確認と更新記録まで設計することで、患者が比較・検討できる情報を保ちやすくなります。
自院の自由診療ページを、更新運用まで含めて整えたい方へ
株式会社メディカルアトラクトでは、既存の自由診療ページ、料金表、広告・SNSの誘導表現を確認し、治療内容、期間・回数、費用、リスク・副作用、問い合わせ先をページ単位の情報シートへ整理します。『自社の場合はどの情報から揃えるべきか相談したい』『企画・制作・公開後の更新をまとめて相談したい』という方は、お問い合わせページから対象ページと現在の更新方法をお知らせください。初回の相談では、院内確認が必要な項目と制作側で改善できる表示・導線を切り分け、優先して見直すページと承認フローを具体化できます。支援内容はサービスページ、制作・運用例は制作実績ページ、入力情報の取扱いはプライバシーポリシーをご確認ください。
本記事は株式会社メディカルアトラクト編集部(医療マーケティング・Web運用支援担当)が、厚生労働省と消費者庁の公表資料を2026年9月9日に確認して作成しました。
参考にした一次情報
- 厚生労働省『医療法における病院等の広告規制について』(2026年9月9日確認)
- 厚生労働省『医療広告等ガイドライン』(令和8年3月30日最終改正、2026年9月9日確認)
- 厚生労働省『医療広告等ガイドラインに関するQ&A』(令和8年3月30日改正、2026年9月9日確認)
- 厚生労働省『医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 第6版』(令和8年3月、2026年9月9日確認)
- 厚生労働省『医療法施行規則』(第1条の9の2、2026年9月9日確認)
- 消費者庁『美容医療を受ける前に確認したい事項と相談窓口について』(2026年9月9日確認)
本記事は2026年9月9日時点の公表資料に基づき、一般的なWeb制作・運用上の確認事項を整理したものです。個別案件への法律上または医療上の助言ではなく、法律専門家による正式な法律相談の代替ではありません。個別の治療内容、広告該当性、限定解除要件の充足を保証するものではありません。判断が難しい場合は掲載・配信を行わず、医療機関を所管する自治体、厚生労働省の公表窓口または適切な専門家へご確認ください。本記事は厚生労働省、消費者庁の提携・監修を受けたものではありません。