
医療機関のウェブサイトや広告で、「地域No.1」「満足度第1位」「最高の医療」「医師の多くが推奨」といった表示を使う前には、調査報告書の有無だけでなく、そもそも医療広告として認められる表現かを先に確認する必要があります。
厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、他の医療機関と比較して優良である旨の広告を認めておらず、「日本一」「No.1」「最高」などの最上級表現は、客観的な事実であったとしても禁止される表現に該当するとしています。また、根拠や調査方法を示さない「○%の満足度」や、公正といえない調査結果も虚偽広告として扱う考え方を示しています。
この記事では、2026年10月6日時点の厚生労働省と消費者庁の一次情報をもとに、No.1・満足度・ランキング表示を公開前に見直す5つの確認を整理します。検索広告の広告文とランディングページは医療機関の検索広告、SNSを含む公開前の確認は医療機関のSNS公開前レビューもあわせてご覧ください。
結論:調査の精度より先に「医療広告で使える表示か」を確認する
一般の商品・サービスに関するNo.1表示では、比較対象、調査対象者、調査方法、表示と結果の対応が重要です。しかし医療機関の受診を誘引する表示では、医療広告規制を別に確認しなければなりません。調査会社から「客観的な調査です」と説明されたことや、出典を小さく添えたことだけで、医療広告の禁止表現が掲載可能になるわけではありません。
最初に表示案を一つずつ抜き出し、掲載主体、掲載先、対象となる医療機関・治療、患者等を誘引する意図、比較や最上級の意味があるかを確認します。そのうえで、根拠資料、調査設計、注記、更新期限、公開責任者を結び付けます。
No.1・満足度表示を見直す5つの確認
1.サイト・広告・SNSを横断して表示を拾い出す
公式サイトのトップページだけでなく、診療ページ、医師紹介、症例ページ、バナー、検索広告、SNS投稿、動画、サムネイル、外部ポータルの紹介文まで確認します。「No.1」のほか、「地域一番」「最高峰」「最も選ばれている」「口コミ1位」「満足度1位」「おすすめしたい」「専門家が推奨」など、比較や優秀性を印象付ける文言を対象にします。
文字だけでなく、1位の台座、王冠、金メダル、ランキング表、他院より大きく見せるグラフなど、画像と文言を組み合わせた全体の印象も記録します。URL、画面名、表示箇所、公開媒体、入稿担当、スクリーンショットを台帳に残すと、同じ表現が別媒体に残ることを防ぎやすくなります。
2.医療広告の比較優良表現に当たらないか確認する
厚生労働省のガイドラインは、特定または不特定の他の医療機関と比較し、施設規模、人員配置、提供する医療の内容などについて自院が優良である旨を示す広告を、比較優良広告として認めていません。「日本一」「No.1」「最高」などは、客観的事実であっても禁止される表現に該当すると明記されています。
調査名、調査会社、対象地域、期間を併記しても、最上級・優秀性の表現そのものが医療広告規制上の問題から外れるとは限りません。「全国の医療機関を調査したから使える」「第三者調査だから使える」と判断せず、まず表現を外す、または比較ではない客観的な情報へ置き換えられるかを検討します。判断が難しい場合は公開を保留し、所管自治体の医療広告相談窓口や適切な専門家へ確認します。
3.客観的事実へ置き換える場合も根拠と時点を揃える
ガイドラインは、最上級を意味する表現などを除き、客観的事実の記載を一律に妨げるものではない一方、求められたときに合理的な根拠を示し、客観的に実証できる必要があるとしています。調査結果を引用する場合は、出典、調査実施主体、調査範囲、実施時期の併記が必要です。
「多い」「豊富」「高い」といった評価語だけで済ませず、事実として掲載する必要があるなら、何をどの単位で数えたか、基準日、対象期間、集計範囲、除外条件を揃えます。たとえば医師数や設備数は変動するため、公開日だけでなく確認日と次回更新日も決めます。数字が古くなった場合や比較対象が変わった場合に、表示だけが残らない運用にします。
4.満足度・推奨率は回答者と質問票まで確認する
厚生労働省のガイドラインは、根拠・具体的な調査方法の提示がない「○%の満足度」や、非常に限られた患者等だけを対象にした調査、謝金によって意図的に誘導された調査を問題例として示しています。結果の数字だけでなく、誰に何を聞き、どの回答を分母・分子にしたかを確認します。
消費者庁は一般のNo.1表示について、少なくとも、比較する商品等、調査対象者、調査方法、表示内容と調査結果の対応という4点を確認する必要があると整理しています。「顧客満足度No.1」で実際の利用経験を確認せず、サイトの印象だけを尋ねた調査は、表示との対応が問題になり得ます。調査会社へ委託した場合も、広告主が内容を確認する必要があります。
医療機関の表示では、この一般的な調査確認を満たすかだけで終わらせず、前項の医療広告規制を先に確認します。調査報告書、質問票、回答条件、比較対象一覧、集計表、納品日、利用期限を保管し、説明できない表示は掲載しません。
5.制作会社・媒体・院内の承認と削除期限をつなぐ
No.1表示は、広告代理店や調査会社から提案される場合でも、院内の広報担当だけで判断せず、医療広告、景品表示、診療内容、数値の各確認者を決めます。入稿前には、表示案と根拠資料を同じ版番号で回覧し、文言だけが差し替わった状態を防ぎます。
調査期間や掲載契約が終了したとき、サイト、広告、SNS、動画、外部媒体から誰が削除するかも決めます。公開後はPCとスマートフォンで、主表示と注記の距離・文字サイズ・表示順を確認し、リンク先だけに根拠を置いて重要な条件が伝わらない状態を避けます。修正履歴と確認日を残し、再入稿時に古い素材を使わないようにします。
表示台帳に残す項目
- 表示文言、画像、掲載URL、広告媒体、掲載位置、スクリーンショット
- 掲載主体、対象となる医療機関・診療・サービス、比較対象
- 出典、調査実施主体、調査範囲、実施時期、質問票、回答条件、集計方法
- 医療広告確認者、数値確認者、公開承認者、制作・入稿担当
- 公開日、次回確認日、掲載終了日、契約終了日、削除担当
- 修正前後の文言、差し替えた媒体、修正日時、再確認結果
よくある質問
第三者調査で本当に1位なら、医療機関サイトに掲載できますか?
「第三者調査で事実」という理由だけでは判断できません。医療広告等ガイドラインは「日本一」「No.1」「最高」などの最上級表現を、客観的事実であっても比較優良広告として禁止される表現に挙げています。一般のNo.1表示で求められる調査要件とは別に、医療広告規制を確認してください。
小さく調査名と期間を注記すれば問題ありませんか?
注記は、禁止される表現を自動的に掲載可能にするものではありません。また、主表示から離れている、文字が極端に小さい、スマートフォンで見切れる場合は、条件が利用者へ伝わりません。表示案全体を医療広告規制と実際の見え方の両方で確認します。
「満足度」だけでNo.1と書かなければ使えますか?
数字や表現の内容によって確認が必要です。厚生労働省のガイドラインは、根拠や具体的な調査方法がない「○%の満足度」を虚偽広告として扱う考え方を示しています。回答者、質問、対象期間、集計方法を確認し、治療効果を保証する印象や患者等の主観に基づく体験談に当たらないかも確認します。
制作会社や調査会社が適法と説明していれば任せられますか?
任せきりにはできません。消費者庁は、第三者が調査を行っていてもNo.1表示等の景品表示法上の責任は広告主が負うとして、広告主自身が根拠と表示の対応を確認するよう案内しています。医療広告についても、院内の責任者を決め、必要に応じて所管自治体や適切な専門家へ確認します。
公開前チェックリスト
- サイト、検索広告、SNS、動画、外部媒体の比較・最上級表示を洗い出した
- No.1、最高、日本一、地域一番などが医療広告の比較優良表現に当たらないか確認した
- 客観的事実へ置き換える場合、出典、主体、範囲、時期、基準日を揃えた
- 満足度・推奨率の質問票、利用経験、回答条件、比較対象、集計方法を確認した
- 調査会社の説明だけに依存せず、広告主側で根拠資料を保管した
- 医療広告、景品表示、診療内容、数値を確認する担当者が同じ表示案を承認した
- PC・スマートフォンで主表示、注記、リンク、文字サイズ、表示順を確認した
- 調査・契約の期限後に全媒体から削除する担当と日付を決めた
まとめ:強い順位表現より、更新できる客観情報を示す
医療機関のNo.1・満足度表示は、調査結果があるかだけで判断できません。まず医療広告の比較優良表現に当たらないかを確認し、そのうえで表示と根拠の対応、調査設計、掲載場所、更新期限、承認者を一つの台帳で管理します。
比較ではなく、診療時間や予約方法などの基礎情報を揃える手順は医療機関の掲載情報更新、医師の経歴・資格の確認は医療機関サイトの医師紹介、症例画像と説明の確認は医療機関サイトの症例写真も参考にしてください。
No.1・満足度表示の掲載状況をまとめて点検したい方へ
株式会社メディカルアトラクトでは、医療機関のサイト、検索広告、SNS、動画、外部媒体にある比較・順位・満足度表示について、掲載箇所、根拠資料、調査条件、確認者、更新期限を一つの表示台帳へ整理します。お問い合わせページから、確認したいサイトURL、広告媒体、現在使っている順位・満足度表示をお聞かせください。初回の相談では、優先して停止・確認する表示、客観情報へ置き換える候補、院内と制作会社の分担、公開後の確認順を具体化できます。
サイト・広告・SNSを含む支援範囲はサービスページ、制作・運用例は制作実績ページをご覧ください。
本記事は株式会社メディカルアトラクト編集部(医療マーケティング担当)が、厚生労働省と消費者庁の公式情報を2026年10月6日に確認して作成しました。
参考にした一次情報
- 医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)(2026年10月6日確認)
- 医療広告等ガイドライン(厚生労働省)(2026年10月6日確認)
- 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 第6版(厚生労働省)(2026年10月6日確認)
- 表示に関するQ&A(消費者庁)(2026年10月6日確認)
- No.1表示に関する実態調査報告書(消費者庁)(2026年10月6日確認)
本記事は2026年10月6日時点の公表資料に基づく一般的な広告制作・運用上の整理であり、個別案件への法律上・医療上の助言ではありません。表示の適法性は、掲載主体、媒体、文脈、表示全体、根拠資料などにより異なります。判断が難しい場合は公開を保留し、所管自治体の相談窓口、法務担当者、適切な専門家へ確認してください。本記事は厚生労働省、消費者庁、調査会社等の提携・監修を受けたものではなく、検索順位、来院、予約、問い合わせの増加を保証しません。