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FILE / 2026090912

企業動画の生成AI。
権利・表示・記録を揃える
5つの確認

実写素材とAI生成カットを権利確認・表示・制作記録の工程へ通すドット絵エイリアン

企業動画の制作では、企画案、絵コンテ、仮ナレーション、背景、短い補助カットなど、生成AIを使える工程が増えています。一方で、『AIで作った』という一言だけでは、入力した素材を使ってよいか、出力が既存作品や人物に近すぎないか、視聴者への表示が必要か、誰が事実を確認したかまでは分かりません。

この記事では、2026年9月9日時点の総務省・経済産業省、文化庁、個人情報保護委員会、YouTube、C2PAの公表資料をもとに、企業動画で生成AIを使う前に揃えたい確認を5つに整理します。生成AIの利用可否や権利関係は、素材、生成方法、契約、出力、公開先ごとに異なります。判断が難しい素材や表現は公開せず、サービス運営元または適切な専門家へ確認してください。

前提:生成AIの使用だけで、公開可否は決まらない

生成AIを使った制作物が一律に利用できる、または一律に利用できないわけではありません。文化庁の資料は、AI生成物の生成・利用段階について、既存著作物との類似性と依拠性が認められる場合には著作権侵害となり得るという、従来と同様の考え方を示しています。また、AI生成物が著作物に当たるかは、人の創作意図と創作的寄与を含め、個別に判断されます。

制作現場では『AIを使ったか』だけでなく、何を入力し、何が出力され、どこを人が選択・修正し、誰が承認し、どの媒体へ公開したかを追える状態にします。企画の目的と視聴者が曖昧な場合は、先に企業動画制作で企画前に決める5つのことを整理すると、AIを使う範囲も判断しやすくなります。

企業動画で生成AIを使う5つの確認

1.使用工程と責任者を、制作前に決める

最初に、生成AIを使う工程を、企画案、台本、絵コンテ、画像、映像、音声、字幕、翻訳、編集補助などに分けます。同じツールでも、入力データの扱い、商用利用条件、禁止用途、生成物に関する条件は、プランや機能、地域、更新時期によって異なる場合があります。ツール名だけを台帳へ書くのではなく、利用規約・プライバシー情報の確認日、契約プラン、使用機能、入力可否、出力の用途を記録します。

総務省・経済産業省の『AI事業者ガイドライン(第1.2版)』は、AI利用者に対して、提供者が定めた利用上の留意点を守ること、出力の精度やリスクを理解して事業利用すること、関係者への情報提供や説明可能性を検討することなどを示しています。制作担当、発注担当、情報管理担当、公開承認者の役割を分け、最終的な公開判断をツールへ委ねない運用にします。

2.個人情報・秘密情報・未公開素材を入力前に止める

人物の顔や声、患者・顧客の情報、未公開の商品、撮影前の台本、社外秘の資料などを、確認なしで生成AIへ入力しないようにします。個人情報保護委員会は、事業者が個人データを含むプロンプトを入力する場合、利用目的の範囲内かを確認し、サービス提供者が機械学習に利用しないことなどを十分に確認するよう注意喚起しています。

入力前チェックでは、個人情報、要配慮個人情報、秘密保持契約の対象、第三者から預かった素材、未公開情報を分けます。必要なら匿名化や仮素材への置き換えを行い、それでも必要性を説明できない情報は入力しません。医療・採用・顧客事例の動画では、実名を消しただけで安全と決めつけず、映像、音声、背景、日時、場所の組み合わせから個人を識別できないかも確認します。

3.参考素材・出力・人物の顔や声を別々に確認する

参考画像や既存動画を入力できる機能では、その素材を生成AIへ入力し、加工し、業務利用する権限があるかを確認します。『インターネットで見つけた』『社内資料にあった』だけでは利用根拠になりません。文化庁のチェックリストは、生成物を利用する前に、既存著作物との類似性を検索等で確認すること、プロンプトや生成過程などを確認可能な状態にしておくことを、リスク低減策として挙げています。

出力後は、構図、キャラクター、ロゴ、商品、文章、音楽、声などを要素別に見ます。特定の実在人物の顔や声に似せる場合は、著作権とは別に、本人の許諾、契約、公開目的を確認します。YouTubeも、AI利用の表示を行っても人物の顔や声を許可なく使えることにはならないと案内しています。許諾範囲が曖昧な人物表現は採用しません。音楽を組み合わせる場合は、企業動画のBGMで確認する権利と利用条件も別に点検します。

4.映像が伝える事実を、人が根拠資料と照合する

生成AIは、実在しない建物、機器、製品の形、人物の発言、統計グラフ、画面表示などを、もっともらしく作ることがあります。企業動画では、ナレーションや字幕だけでなく、背景や補助カットが事実と異なる印象を作っていないかを確認します。実在する施設や出来事を表す映像へ生成・改変を加えた場合は、実写と誤認されない構成や説明が必要です。

特に医療や健康に関わる映像は、生成された人物、診療場面、機器、数値、治療結果を実在の事実や標準的な結果のように見せません。診断、治療、効果を示すように見えるカットは、制作担当者の判断だけで採用せず、根拠と表示の妥当性を関係担当者が確認します。確認できない内容は『イメージ』という注記で補うのではなく、カット自体を掲載しない判断を優先します。

5.公開先の表示と、制作記録をセットで残す

YouTubeは、実在人物が実際にはしていない発言・行動をしたように見せる、実際の出来事や場所を改変する、実在しない写実的な場面を生成するといった内容について、アップロード時の『AIの使用』設定で開示するよう案内しています。単純な色調整や制作補助まで一律に同じ扱いではないため、公開時点の公式ヘルプで対象例を確認します。YouTube以外へ公開する場合も、各媒体の最新ルールを個別に確認します。

C2PAのContent Credentialsは、素材の来歴、編集、AI利用などの情報を改ざん検知可能な形で記録するための標準です。ただしC2PA自身も、来歴情報だけで内容が真実・正確・事実であるとは判断できないと説明しています。メタデータの有無だけに頼らず、社内の制作台帳にも元素材、生成日時、使用ツールと機能、主な指示、採用出力、人の修正、権利確認、事実確認、表示判断、承認者、公開先を残します。

企画から公開までの確認フロー

  1. 動画の目的、視聴者、公開媒体、必要なカットを決める
  2. 生成AIを使う工程と、使わない工程を分ける
  3. 利用規約、入力データの扱い、商用利用条件を確認する
  4. 入力素材の権利、個人情報、秘密情報を確認する
  5. 出力を既存作品、ロゴ、人物の顔・声、事実の観点で確認する
  6. 人が選択・修正した最終版を関係担当者が承認する
  7. 公開先のAI表示、説明文、サムネイル、字幕を確認する
  8. 元素材、生成過程、承認版、公開設定を制作台帳へ保存する

複数媒体へ展開する場合は、表示設定だけでなく、画角、字幕、音声、圧縮後の見え方も変わります。最終データの分け方は企業動画の横・縦・正方形を分ける納品仕様も参考にしてください。

公開前チェックリスト

  • 生成AIを使った工程、ツール、機能、確認日を記録した
  • 利用規約、データ利用、商用利用、禁止用途を確認した
  • 個人情報、秘密情報、第三者素材を無断で入力していない
  • 参考素材を入力・加工する権限を確認した
  • 出力が既存作品、ロゴ、商品、文章、音楽に近すぎないか確認した
  • 実在人物の顔や声は、本人の許諾と公開範囲を確認した
  • ナレーション、字幕、映像内の事実を根拠資料と照合した
  • 実在しない場面を実写や実績のように見せていない
  • 公開先のAI表示要件を、公開時点の公式情報で確認した
  • 表示を付けるだけで権利確認を終えたことにしていない
  • 人が修正・承認した最終版と制作記録が対応している
  • 判断が難しいカットを公開から外せる状態にした

医療機関のSNSへ掲載する場合は、動画単体ではなく、投稿文、サムネイル、リンク先を含めて確認します。公開前の役割分担は医療機関のSNS運用で行う公開前レビューをご覧ください。

よくある質問

『AI生成』と表示すれば、その動画は自由に使えますか?

いいえ。表示は視聴者へ制作方法を伝えるための対応であり、入力素材、既存著作物との類似、人物の顔や声、利用規約、事実関係の確認を置き換えるものではありません。表示と権利確認は別の項目として行います。

企画案や台本の下書きだけなら、何を入力してもよいですか?

いいえ。完成映像を生成しない場合でも、入力した個人情報、秘密情報、第三者素材の扱いを確認する必要があります。公開前の企画や台本が秘密保持の対象になることもあるため、ツールのデータ利用条件と社内・取引先のルールを照合します。

Content Credentialsが付いていれば、事実確認は不要ですか?

不要にはなりません。Content Credentialsは、記録された来歴や編集履歴が改変されていないかを確かめる助けになりますが、映像の内容自体が真実か、権利処理が十分かを自動で保証する仕組みではありません。根拠資料との照合と公開承認を別に行います。

まとめ:AIの使用記録を、公開判断につなげる

企業動画で生成AIを使うときは、便利な機能を選ぶ前に、使用工程、入力データ、参考素材と出力、人物の顔や声、映像が伝える事実、公開先の表示を分けて確認することが重要です。人が修正・承認した最終版と生成過程を対応させることで、公開直前に判断材料が散らばるのを防げます。

自社の動画に合う生成AIの制作ルールを整えたい方へ

株式会社メディカルアトラクトでは、予定している動画と公開媒体を確認し、生成AIを使う工程、入力禁止情報、素材・出力の確認項目、社内承認、媒体別の表示、制作台帳まで一つのフローに整理します。『自社の場合はどの工程から導入すべきか相談したい』『企画・制作・公開後の運用をまとめて相談したい』という方は、お問い合わせページから動画の目的と検討中の媒体をお聞かせください。初回の相談では、AIへ任せられる作業と人が確認すべき作業を切り分け、試作から公開までの役割と確認順を具体化できます。対応領域はサービスページ、制作例は制作実績ページ、入力情報の取扱いはプライバシーポリシーをご確認ください。

本記事は株式会社メディカルアトラクト編集部(動画・SNS制作担当)が、総務省・経済産業省、文化庁、個人情報保護委員会、YouTube、C2PAの公表資料を2026年9月9日に確認して作成しました。

参考にした一次情報

本記事は2026年9月9日時点の公表資料に基づき、一般的な動画制作・運用上の確認事項を整理したものです。個別案件への法律上または医療上の助言ではなく、法律専門家による正式な法律相談の代替ではありません。生成AIの使用、表示、記録によって著作権、プライバシー、契約上の問題が生じないことや、動画の成果を保証するものではありません。サービスの規約、機能、表示要件は変更される場合があります。判断が難しい素材や表現は掲載・配信せず、サービス運営元、権利者または適切な専門家へご確認ください。本記事は各掲載機関・団体・サービスの提携・監修を受けたものではありません。