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企業動画の納品仕様。
横・縦・正方形を
分ける5つの設計

1本の動画を横長・縦長・正方形の3仕様へ書き出すドット絵エイリアン

企業動画の完成後に『YouTubeにも縦型SNSにも載せたい』『展示会では無音で流したい』と用途が増えると、画角、字幕、尺、音量、ファイル容量を改めて調整することになります。横長の完成データをそのまま縦長に切り抜くと、話者や商品が見切れたり、字幕がアプリの操作表示に重なったりすることもあります。

この記事では、2026年9月8日時点のYouTube、TikTok、W3C、厚生労働省の公表資料をもとに、企業動画の納品・書き出し仕様を5つに整理します。各サービスの仕様は変更されるため、ここにある数値を固定ルールにせず、実際の公開先と広告メニューを決めたうえで入稿時にも公式情報を再確認してください。

前提:『高画質な1本』と『使いやすい納品』は同じではない

書き出し設定は、画質だけで決まりません。視聴される画面、投稿方法、広告か通常投稿か、音声の有無、字幕の切り替え、将来の再編集まで含めて決める必要があります。たとえばYouTubeはパソコンで16:9を標準とし、異なる比率の動画にはプレーヤーが自動調整します。一方、TikTokの非Spark広告では縦9:16が推奨され、横16:9や正方形1:1にも個別の寸法条件があります。

そこで、最初から『保存用のマスター』『公開先ごとの配信用ファイル』『字幕やサムネイルなどの付属データ』を分けます。動画の目的と視聴後の導線から決めたい場合は、企業動画制作の企画前に決める5つのことも先にご覧ください。

企業動画の納品・書き出しで決める5つの設計

1.公開先ではなく、視聴場面から納品一覧を作る

『SNS用』だけでは仕様を決められません。同じサービスでも通常投稿と広告で条件が異なり、スマートフォンの縦画面、PCの横画面、展示会のサイネージでは安全に見える範囲も変わります。まず、公開場所、投稿種別、想定端末、音声の初期状態、尺、リンク先、公開担当を1行ずつ並べます。

最低限の納品一覧には、①Webサイト・YouTube向け横長版、②縦型SNS向け縦長版、③必要な場合の正方形版、④無音環境でも要点が伝わる字幕付き版、⑤保存用マスターを記載します。すべてを必ず作るのではなく、利用予定があるものだけを見積もりと検収対象にします。

2.保存用マスターと配信用ファイルを分ける

配信用ファイルは容量や再生互換性を優先するため、公開後に再圧縮されることがあります。将来の短尺化、字幕差し替え、縦型への再構成に備えるなら、配信用MP4だけでなく、高品質な完成マスター、編集プロジェクト、使用素材、フォント、字幕原稿、音源・出演・撮影場所の許諾記録をどこまで保管するか決めます。

保管期間、保管場所、再編集できる担当者、追加費用の扱いも合意します。権利の範囲はファイル形式とは別の論点です。とくにBGMは『購入したからどこでも使える』とは限らないため、企業動画のBGMで確認したい権利と二次利用の手順も合わせて確認してください。

3.アスペクト比ごとに、切り抜きではなく構図を確認する

YouTubeの公式ヘルプは、パソコン上の標準アスペクト比を16:9とし、動画自体に余白や黒帯を追加しないよう案内しています。縦長や正方形もプレーヤーが動画サイズと端末に合わせて調整するため、『16:9でなければ投稿できない』という意味ではありません。

TikTokの非Spark広告は、2026年6月更新の公式仕様で、縦9:16は540×960ピクセル以上、横16:9は960×540ピクセル以上、正方形1:1は640×640ピクセル以上とされています。また、セーフゾーンは画面比率、説明文の長さ、追加フォーマットによって変わり、プレビューと公開版に差が生じる場合があると案内されています。これは通常投稿全体の共通仕様ではなく、非Spark広告の条件です。

撮影時は、横長の中央を縦に切るだけで成立するかを絵コンテで確認します。話者を端に置く、複数人を横並びにする、画面いっぱいに資料を映す構図は、縦型化で破綻しやすいため、寄りの別カットや背景の余白を用意します。ロゴ、字幕、CTAはアプリのUIに重ならない位置を、公開先の最新セーフゾーンで確認します。

4.フレームレート、色、音声、字幕を仕様書に残す

YouTubeが案内する推奨アップロード設定では、MP4コンテナ、H.264のプログレッシブスキャン、可変ビットレート、4:2:0のクロマサブサンプリング、48kHzの音声、SDRではBT.709が例示されています。フレームレートは撮影時と同じ値でエンコードしてアップロードする考え方です。これらはYouTube向けの推奨値であり、すべての納品先にそのまま当てはめる絶対条件ではありません。

字幕は、映像へ焼き込むオープンキャプションと、表示を切り替えられる字幕ファイルを用途別に用意します。W3CのWCAG 2.2は、事前収録された同期メディアの音声内容に字幕を提供する達成基準を示し、解説資料では会話だけでなく、話者や意味のある効果音も字幕に含める考え方を説明しています。WCAGへの適合義務がすべての企業動画へ一律に生じると断定せず、対象サイトの方針と必要な適合レベルを確認してください。字幕の校正と表示設計は、自動字幕で終わらせない5つの確認で詳しく整理しています。

5.ファイル名ではなく、検収条件まで合意する

『完成版』『最終版』という名前だけでは、どの公開先の何版か分からなくなります。案件名、比率、尺、言語、字幕の有無、版番号、書き出し日を一定の順序で付けます。たとえば、同じ内容でも横長字幕なし、縦長字幕あり、無音サイネージ用を別ファイルとして識別できる状態にします。

検収時は、再生できることだけでなく、冒頭と末尾、音声の左右、字幕の誤字と同期、ロゴや人物の見切れ、リンク先・QRコード、使用期限のある情報、公開先での再生結果を確認します。医療機関の動画では、動画内の表現だけでなく、タイトル、説明文、サムネイル、遷移先ページを同じ公開単位としてレビューします。厚生労働省は医療機関のウェブサイトも医療広告規制の対象になり得ることを示しているため、自由診療の費用・リスク等を含む必要な情報が、短尺化や縦型化で欠けていないかも個別に確認します。

発注前に共有したい納品仕様チェックリスト

  • 公開先、投稿種別、想定端末、公開担当が決まっている
  • 横長・縦長・正方形のうち、本当に必要な比率を選んでいる
  • 各比率で主役、ロゴ、字幕、CTAが見切れない
  • 保存用マスターと配信用ファイルを区別している
  • 尺、解像度、フレームレート、音声、色空間を記録している
  • 字幕の焼き込み版と字幕ファイルの要否を決めている
  • 音源、出演、ロケ地、フォント、素材の利用範囲を記録している
  • ファイル名、版番号、保管期間、再編集条件を決めている
  • 公開先でテスト投稿し、UIとの重なりと再生品質を確認する
  • 医療広告など業種固有の審査を、派生版ごとに行う

よくある質問

4Kで撮影すれば、縦型への展開も問題ありませんか?

解像度に余裕があっても、構図の中心に必要な人物や商品が入っていなければ縦型化は難しくなります。撮影前に横・縦の仮フレームを重ね、必要な別カットを決めることが重要です。

納品はMP4だけで十分ですか?

公開だけが目的ならMP4で足りる場合もあります。ただし、字幕修正、尺変更、別比率への再編集が想定されるなら、マスター、字幕原稿、使用素材と許諾記録の保管条件も決めておくと再制作を減らせます。

各SNSの推奨サイズは制作時に固定してよいですか?

仕様や広告メニューは変更されます。制作時に確認した公式URLと確認日を仕様書へ残し、実際の入稿前にも再確認してください。通常投稿と広告、同じ広告でも形式の違いを混同しないことが大切です。

まとめ:納品仕様は、撮影後ではなく企画時に決める

企業動画を複数の媒体で活用するには、1本の高画質データを作るだけでは足りません。視聴場面から必要な比率と字幕を選び、保存用マスターと配信用ファイルを分け、公開先ごとのセーフゾーンと仕様を確認します。最後に検収条件と権利記録までそろえると、公開直前の作り直しや、後日の二次利用で迷う場面を減らせます。

動画の企画から用途別納品までまとめて相談したい方へ

株式会社メディカルアトラクトでは、Webサイト、YouTube、縦型SNS、広告、展示会などの利用予定を整理し、撮影前にマスター版と派生版の納品一覧を設計します。『自社の場合はどの比率と字幕を用意すべきか相談したい』『企画・制作・運用をまとめて相談したい』という方は、お問い合わせページから予定している公開先と動画の目的をお知らせください。初回の相談では、必要な比率・尺・字幕・セーフゾーン・保管データを一覧化し、不要な書き出しを増やさず再利用しやすい制作範囲を具体化できます。対応領域はサービスページ、制作事例は制作実績ページ、公開後の評価設計はSNS運用のKPI設計もご覧ください。

本記事は株式会社メディカルアトラクト編集部(動画制作・SNS運用支援担当)が、YouTube、TikTok、W3C、厚生労働省の公表資料を2026年9月8日に確認して作成しました。

参考にした一次情報

本記事は一般的な動画制作・運用設計の情報であり、個別案件の法的判断や、すべての公開先への適合を保証するものではありません。プラットフォームの仕様や広告メニューは変更されるため、入稿時の公式情報をご確認ください。医療広告、著作権、出演者・撮影場所・素材の権利など判断が難しい内容は掲載せず、所管行政機関、プラットフォームまたは適切な専門家へご確認ください。本記事はYouTube、TikTok、W3C、厚生労働省の提携・監修を受けたものではありません。