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FILE / 2026091018

企業動画の
撮影データを守る
5つの設計

撮影素材を作業用と分離バックアップへ振り分けるドット絵エイリアン

企業動画の撮影では、カメラ本体、複数のメモリーカード、録音機、スタッフの端末、編集用ストレージ、クラウドなどへデータが分かれます。撮影できた安心からカードを早く初期化したり、編集担当者の端末だけに素材を置いたりすると、故障、誤操作、紛失、退職・委託終了の際に、必要な映像へ戻れなくなるおそれがあります。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2026年3月に公開した『中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版』は、重要データのバックアップについて、対象と頻度、遠隔地を含む保管方法、リストア手順を定め、複数世代や物理的分離を例示しています。個人情報保護委員会のガイドラインは、映像・音声も個人に関する情報に含まれ得ること、個人データにはアクセス制御や委託先監督などの安全管理が必要であることを示しています。

この記事では、2026年9月10日時点の一次情報をもとに、企業動画の撮影データを『見つけられる』『戻せる』『必要な人だけが扱える』『不要になったら処理できる』状態へ整える5つの設計を紹介します。具体的な保管期間や方法は、素材の内容、契約、利用目的、社内規程、利用サービスによって異なります。

前提:撮影データは、完成動画とは別の情報資産

公開する完成動画だけでなく、未採用テイク、録音データ、出演者名を含む進行表、同意書、編集プロジェクト、字幕原稿も、再編集や権利確認に必要な情報です。一方、未公開の人物、施設内の表示、会話、位置情報など、完成版では使わない情報を含むことがあります。

そこで、すべてを無期限に同じ場所へ保存するのではなく、案件ごとに『何を持っているか』『どこにあるか』『誰が扱うか』『いつ見直すか』を台帳化します。IPAも、業務で使う電子データや書類を洗い出し、機密性・完全性・可用性への影響から重要度を判断する資産管理を案内しています。

素材・バックアップを守る5つの設計

1.撮影前にフォルダとファイル名の規則を決める

案件コード、撮影日、カメラ・録音機、カード番号、シーン、テイクを、チームで読める順番にします。例えば、カード単位の元データは機器が作ったフォルダ構造を保ち、その外側の案件フォルダへ撮影日とカード番号を付けます。編集用に名前を変える場合も、元データとの対応表を残します。

同じ『001』が複数台で生まれる、誰かのデスクトップに『最終』『最終2』が増えるといった状態を避け、元データ、編集作業中、確認用、納品版をフォルダで分けます。企画段階の目的と担当を先にそろえる方法は、企業動画制作の企画前に決める5つのこともご参照ください。

2.カードを初期化する条件を『コピー完了』だけにしない

撮影後は、映像、音声、静止画、機器が作る管理ファイルを案件フォルダへコピーし、ファイル数や容量、代表ファイルの再生、音声の有無を確認します。長時間素材や重要案件では、コピー検証機能やチェックサムを扱える運用も検討します。ただし、ツールの表示だけに頼らず、誰が、どの保存先を、いつ確認したかを記録します。

少なくとも別の保管先に複製され、必要な素材が開けることを確認する前に、撮影カードを初期化しません。カードの再利用可否を決める担当を一人に固定し、現場の口頭確認だけで消去が進まない手順にします。

3.作業用ストレージと復旧用バックアップを分ける

編集用の共有ストレージは共同作業に便利ですが、それだけをバックアップと考えないようにします。IPA第4.0版は、バックアップの対象・頻度を定め、安全な場所で保管し、戻せるか定期的に確認することを案内しています。また、複数世代を保持する方法と、元のシステムから物理的に分離して保管する方法を例示しています。

案件の重要度と更新頻度に合わせて、元データ、作業中データ、編集プロジェクト、完成版のどれを、いつ、どこへ退避するかを決めます。バックアップ装置を常時接続しない、別の権限や保管場所を使うなど、一つの誤操作や障害が作業用と復旧用の両方へ同時に及ばない構成にします。さらに、任意の案件を実際に戻すテストを行い、復旧先、所要手順、担当者を更新します。

4.人物が映る素材は、閲覧範囲と委託経路を限定する

個人情報保護委員会の通則ガイドラインは、『個人に関する情報』に映像・音声による情報も含まれると説明しています。顔や声だけで常に個人情報になるとは限りませんが、他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できる素材は個人情報に該当し得ます。医療・介護の現場では、身体の状態、受診に関する情報、名札、カルテ画面などが映り込まないか、撮影前と編集前の両方で確認します。

個人データを扱う場合、担当者と扱える範囲を限定するアクセス制御、認証、持ち運び時の保護などが必要です。クラウドへ置くときは、保存場所、管理者、共有リンク、退職・異動時の権限削除、サービス終了時の取り出し方法を確認します。制作会社へ取扱いを委託する場合も、委託元には適切な委託先の選定、契約、取扱状況の把握が求められます。再委託の有無と経路も確認し、必要のない素材を渡しません。アカウントの棚卸しは企業SNSの権限管理で紹介した考え方も応用できます。

5.納品後の保存・返却・削除を契約と台帳で閉じる

納品仕様には、完成ファイルだけでなく、元データ、編集プロジェクト、使用フォント・音源の情報、字幕原稿のうち何を引き渡すかを記載します。ファイル形式や縦横比などの整理は、企業動画の納品仕様を分ける5つの設計も参考になります。

元データを誰がどの期間保管するか、再編集時に何を渡せるか、契約終了時に返却・削除する範囲、バックアップから消える時期まで決めます。個人情報保護法の通則ガイドラインは、個人データを利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めることを示し、電子データの削除には容易に復元できない手段、媒体の廃棄には専用ソフトウェアや物理的破壊などを例示しています。実際の保存義務や契約上の必要があるデータまで一律に消すのではなく、根拠と期限を台帳で区別し、実施者と確認者を記録します。

撮影日から納品後までの確認表

  • 案件コード、撮影日、機器、カード番号の命名規則がある
  • 機器が作る元のフォルダ構造を保持している
  • 映像・音声・静止画のファイル数と容量を確認した
  • 代表ファイルを開き、映像と音声を再生できた
  • 別の保管先への複製前にカードを初期化していない
  • 作業用と復旧用が同じ誤操作の影響を受けにくい
  • バックアップの対象、頻度、世代、保管場所を決めた
  • 任意の案件を戻すテストと手順更新を行った
  • 人物や施設内情報を含む素材の閲覧者を限定した
  • クラウドの共有範囲、保存場所、退出者の権限を確認した
  • 委託・再委託で渡す素材と安全管理を確認した
  • 納品物、保管期限、返却・削除、実施確認を記録した

よくある質問

クラウドへ同期していれば、バックアップは不要ですか?

同期と復旧用バックアップは目的を分けて考えます。共同作業用の保存先が一つだけなら、誤削除や権限事故などの影響を避けられない場合があります。利用サービスの版管理や復元条件を確認したうえで、IPAが案内する複数世代、分離保管、リストア手順を案件の重要度に合わせて組み合わせます。

すべての撮影素材を永久保存した方が安全ですか?

長く残すほど再編集に使いやすい一方、権限管理、契約、個人情報、保管費用の管理も続きます。保管の根拠と期限を素材区分ごとに決め、必要性を定期的に見直します。個人データは、法令や契約などの保存根拠を確認したうえで、利用する必要がなくなった場合の消去を検討します。

生成AIへ素材を読み込ませてもよいですか?

人物、機密情報、未公開情報を含む素材を、利用条件や保存・学習の扱いを確認せず外部サービスへ入力しないでください。利用可否は、権利者・出演者との合意、利用目的、社内規程、サービスの契約条件とデータ取扱いを照合して判断します。詳しくは企業動画で生成AIを使う前の権利・表示・記録をご覧ください。

まとめ:撮影データは『コピーした』ではなく『戻せる』まで設計する

企業動画のデータ管理では、命名と所在をそろえ、初期化条件を明文化し、作業用と復旧用を分け、人物を含む素材の権限と委託経路を限定し、納品後の保存・削除まで閉じることが重要です。バックアップは作成した回数ではなく、必要な時点の素材を実際に戻せるかで確認します。

自社の動画素材管理を、制作フローと一緒に整えたい方へ

株式会社メディカルアトラクトでは、撮影から編集、確認、納品、再利用までの流れを確認し、案件フォルダの命名、カード初期化の条件、バックアップ対象、共有権限、納品・保存ルールを一枚の運用表へ整理します。お問い合わせページから、現在の保存先と困っている工程をお聞かせください。初回の相談では、守るべき元データと日常の作業データを切り分け、社内担当者と制作会社の役割、復旧確認、納品後の扱いを具体化できます。『自社の場合はどう設計すべきか相談したい』『企画・撮影・編集・運用をまとめて相談したい』という段階でもご相談いただけます。支援範囲はサービスページ、制作例は制作実績ページ、個人情報の基本方針はプライバシーポリシーをご確認ください。

本記事は株式会社メディカルアトラクト編集部(動画制作・Web運用担当)が、IPA、個人情報保護委員会の公表資料を2026年9月10日に確認して作成しました。

参考にした一次情報

本記事は2026年9月10日時点の公表資料に基づき、一般的な企業動画の制作・データ管理方法を整理したものです。特定の保管方法が、データ消失、漏えい、権利侵害を完全に防ぐことを保証するものではありません。個別の法律上・情報セキュリティ上・医療上の助言ではなく、法律・セキュリティ専門家による正式な相談の代替ではありません。素材の内容、契約、法令、保存義務、利用サービスの仕様を確認し、判断が難しい素材は外部共有や新たな用途への利用を行わず、担当部門、サービス運営元または適切な専門家へご確認ください。