
医療マーケティングの報告で、Google検索やマップの閲覧ユーザー数、通話、ルート検索、Webサイトのアクセス数を一つの表に並べても、それぞれが何を意味するかを分けなければ改善点は見えません。たとえば、Googleビジネスプロフィールの「通話」は、実際に通話が成立した件数ではなく、プロフィール上の通話ボタンがクリックされた回数です。
Googleは2026年6月8日、Google Analytics 4(GA4)とGoogleビジネスプロフィールを連携し、プロフィールの主要指標をGA4内で確認できる機能を発表しました。この記事では、その公式情報を基に、医療機関が「見つけられた」「行動された」「サイトで検討された」「問い合わせにつながった」を混同しないための効果測定の設計を解説します。
新しい連携で、プロフィールとサイトの数字を同じ画面で確認できる
GA4の管理画面からGoogleビジネスプロフィールをリンクすると、専用のレポートコレクションが追加され、プロフィール上のインタラクション、Webサイトのクリック、通話、ルート、メッセージ、予約、メニューなど、利用可能な集計指標をGA4で確認できます。連携には、GA4側の編集者または管理者権限と、Googleビジネスプロフィール側のオーナーまたは管理者権限が必要です。
Googleの公式ヘルプには、この連携で使うプロフィール指標は集計データのみと記載されています。また、複数プロフィールを連携した場合は合算値となり、個々のプロフィールで絞り込みできないこと、専用指標を探索や比較、フィルタで使えないこと、確認できるプロフィール指標は直近6か月分であることが案内されています。数字を同じ画面で見られる利便性と、分析上の限界を分けて理解します。
まず4段階に分ける:発見、プロフィール行動、サイト行動、問い合わせ
1.地域で発見されたか
Googleビジネスプロフィールでは、Google検索やGoogleマップでプロフィールを閲覧したユーザー数や、どのような検索語で見つかったかを確認できます。閲覧数は同一ユーザーについて1日1回として数えられ、Google上の総表示回数とは異なります。ここは認知や地域での発見を示す段階です。閲覧ユーザー数が増えても、問い合わせや来院を直接意味するものではありません。
診療時間、住所、電話番号、WebサイトURL、主なカテゴリなど、プロフィールと公式サイトの基本情報を一致させます。Googleのガイドラインも、実世界で認識されている名称や住所を正確に表し、事業を説明するために必要な最小限のカテゴリを選ぶよう案内しています。
2.プロフィールで次の行動が起きたか
プロフィールの通話、ルート、Webサイトのクリックは、検討者が次の行動へ進んだ手掛かりです。ただし、それぞれの定義を超えて解釈しないことが重要です。
- 通話:プロフィールの通話ボタンがクリックされた回数であり、通話成立や予約完了ではない
- ルート:施設までのルートを検索したユーザー数であり、来院者数ではない
- Webサイト:プロフィールのWebサイトリンクがクリックされた回数であり、問い合わせ完了ではない
月次報告では「通話件数」「来院数」と短く書かず、「プロフィールの通話ボタンクリック」「ルート検索ユーザー数」のように公式定義へ合わせて名称を付けます。
3.サイト上で必要な情報を確認できたか
GA4では、流入元、ランディングページ、閲覧、リンククリックなどのイベントを使い、プロフィールからサイトへ移った後の行動を確認できます。重要な行動は「キーイベント」として設定し、どの流入やページがその行動につながったかをレポートで見ます。
医療機関のサイトで候補になり得るのは、問い合わせ完了、予約システムへの遷移、電話リンクのクリック、アクセスページの表示などです。ただし、すべてを同じ価値で合計せず、「情報確認」「問い合わせ開始」「問い合わせ完了」のように段階を分けます。ページ改善の優先順位を考える際は、医療サイトのLLMO。AI検索に備える5つの基本で整理した情報設計も参考になります。
4.問い合わせ後の結果は、院内の集計と分けて確認する
Web上のクリックやキーイベントだけで、予約成立、受診、継続などの結果を断定しません。必要に応じて、電話やフォームの問い合わせ件数、予約成立数などを院内で集計し、Web指標とは別の列で確認します。広告や解析ツールへ、氏名、電話番号、メールアドレス、症状、相談内容、予約理由などをイベント名やパラメータとして送らない設計にします。
Google Analyticsのポリシーと公式ヘルプは、氏名やメールアドレスなど、個人を特定できる情報を送信しないよう求めています。日本の個人情報保護委員会も、医療機関が扱う病歴、診療情報、健診結果などを要配慮個人情報の例として示しています。問い合わせフォームや予約ページを計測する場合は、送信完了という事実だけを集計し、入力内容を解析データに混ぜないことを基本にします。実装前に、利用目的、委託先、同意や通知の方法、保存期間、アクセス権限を自院の法務・個人情報保護体制で確認してください。
実務で使える効果測定の5ステップ
ステップ1:連携前に、権限と対象プロフィールを確認する
GA4のプロパティとGoogleビジネスプロフィールの管理者を確認し、どの施設を連携するかを決めます。複数施設の値はGA4で合算され、施設別に絞り込めないため、施設ごとの評価が必要なら、Googleビジネスプロフィール側のレポートや自院の集計方法も併用します。
ステップ2:プロフィールとサイトの基本情報を一致させる
名称、住所、電話番号、診療時間、休診情報、WebサイトURLを確認します。プロフィールからは、診療科や目的に合う説明ページへつなぎます。情報を頻繁に変えるのではなく、公式サイトとプロフィールで同じ更新責任者と確認日を持つ運用にします。
ステップ3:指標辞書を一枚つくる
前の4段階で整理した内容を基に、「指標名」「公式上の定義」「データ元」「判断に使う場面」「確認頻度」を一覧にします。たとえば、通話ボタンクリックはプロフィール上の反応を把握する指標、問い合わせ完了はサイト上の導線を把握する指標、予約成立は院内業務の結果を把握する指標と位置付けます。定義が異なる数字を一つの成果として足し合わせないことが大切です。
ステップ4:キーイベントは必要最小限にする
問い合わせ完了、予約システムへの遷移など、改善判断に必要なイベントだけを設定します。イベント名やパラメータに入力内容や個人を識別できる値が入っていないか、URLやページタイトルに相談内容が露出しないかも確認します。設定後はGA4のリアルタイムレポートやDebugViewなどを用いて、意図した操作で一度だけ記録されるかを検証します。
ステップ5:月次では「増減」と「次の修正」をセットで残す
閲覧、プロフィール行動、サイト行動、問い合わせの4段階を同じ期間で確認し、変化と仮説を記録します。たとえば、Webサイトクリックは増えたのに問い合わせ完了が増えていない場合、ランディングページの情報不足やフォームの使いにくさを点検します。少ないデータから原因を断定せず、変更点と観察期間を決めて検証します。プロフィール指標はGA4上で直近6か月分に限られるため、長期比較が必要なら、権限と保存方法を定めた上で定期的に記録します。
医療マーケティングでは、数字の改善より先に表示内容を確認する
クリックや問い合わせを増やす施策であっても、医療広告に関する規制や各サービスのポリシーは変わりません。最上級の比較、効果や安全性の保証、根拠を示せない数値、患者の主観に基づく体験談など、問題になり得る表現を避けます。厚生労働省の医療広告ガイドラインと、2026年3月作成の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」を確認し、判断が難しい内容は掲載しません。
外部の制作会社、広告会社、インフルエンサーなどが関わる場合も、広告主が表示内容を確認できる承認フローを持ちます。事業者の表示に当たる場合は、「広告」「PR」など、事業者の表示であることが分かる形で明示します。SNSの公開前確認は、医療広告に配慮したSNSの公開前レビューで詳しく解説しています。
効果測定のチェックリスト
- プロフィールと公式サイトの名称、住所、電話番号、診療時間が一致している
- 通話、ルート、Webサイトクリックの定義を来院や予約と混同していない
- GA4連携が合算値で、プロフィール別の絞り込みに制限があると理解している
- プロフィール指標の保持期間が直近6か月であると理解している
- 指標ごとにデータ元、定義、担当者、確認頻度を決めている
- キーイベントを目的別に分け、重複記録を検証している
- 氏名、連絡先、症状、相談内容などを解析イベントへ送っていない
- 数字の増減だけで原因や来院効果を断定していない
- 公開する表示内容を医療広告と各サービスの規定に照らして確認している
まとめ:同じ画面に並んでも、同じ成果ではない
GoogleビジネスプロフィールとGA4の連携によって、地域での発見とWebサイト上の行動を一つの管理画面で確認しやすくなりました。一方、閲覧ユーザー数、通話ボタンのクリック、ルート検索、サイト訪問、問い合わせ、予約成立は、それぞれ異なる段階です。指標の定義をそろえ、個人情報を必要以上に収集せず、改善するページや情報を具体的に決めることが医療マーケティングの効果測定になります。
株式会社メディカルアトラクトでは、Googleビジネスプロフィール、Webサイト、SNS、動画の役割を整理し、発見から問い合わせまでの導線と指標をまとめて設計します。自院では何を成果指標にすべきか相談したい方、企画・制作・運用を一つの改善サイクルにしたい方は、お問い合わせページから現在の発信媒体と確認したい成果をお聞かせください。指標の定義、計測上の注意点、改善候補ページを優先順位付きで整理できます。ご入力内容はお問い合わせへの回答とご提案の連絡に利用し、プライバシーポリシーに基づいて取り扱います。
企画・制作・運用の支援範囲はサービスページ、実際の制作領域は制作実績ページでもご覧いただけます。
本記事は株式会社メディカルアトラクト編集部(Web・マーケティング支援担当)が、Google、厚生労働省、個人情報保護委員会の公表資料を2026年8月31日に確認して作成しました。
参考にした一次情報
- Google Analyticsの新機能(Google Analyticsヘルプ)
- GoogleビジネスプロフィールをGoogle Analyticsに接続する(Google Analyticsヘルプ)
- ビジネスプロフィールのパフォーマンスとインサイトについて(Googleビジネスプロフィールヘルプ)
- キーイベントについて(Google Analyticsヘルプ)
- 個人を特定できる情報の送信を避けるためのベストプラクティス(Google Analyticsヘルプ)
- Googleに掲載するローカルビジネス情報のガイドライン(Googleビジネスプロフィールヘルプ)
- 医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)
- 医療広告ガイドライン(厚生労働省)
- 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 第6版(厚生労働省)
- 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(個人情報保護委員会・厚生労働省)
本記事は2026年8月31日時点の公表資料に基づく一般的な情報を整理したもので、個別案件への法律上・医療上の助言、来院や問い合わせの増加、広告効果を保証するものではありません。サービスの機能や規定は更新される場合があるため、実務では最新版をご確認ください。本記事はGoogleの提携・監修を受けたものではありません。